1963年バロンドールに相応しいのはヤシン?ペレ? - サカなん

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バロンドールは元々、欧州年間最優秀選手賞として1956年に作られた。それから1994年までの39年間はヨーロッパ国籍の選手限定のまま表彰を続けていた。1995年に初めて、UEFAに加盟するクラブチームに所属しているという条件付きではあるが、対象者の国籍を問わないことになった。2007年からは、UEFAに限らず、全世界のリーグも対象となり、晴れて「世界年間最優秀選手賞」の扱いになったのである。とは言え、ワールドクラスの選手がヨーロッパのリーグに一堂に会する現代のサッカー界なのだから、1995年からでも実質「世界年間最優秀選手賞」と言って差し支えないだろう。

このような歴史的背景から、バロンドールを創立したフランス・フットボール誌は、2016年のバロンドール60周年に際し、1994年以前の受賞者を再度評価し直した。つまり、「創立当初からバロンドールが全世界の選手を対象にしたものだったら受賞者は誰になっていたか」を仮想したのだ。その内12回が、再評価の結果、正規の受賞者とは別の選手が受賞に相応しかったという結論に至った。

12回の内の一つ、1962年バロンドール。正式な受賞者は、ソビエト連邦国籍のレフ・ヤシンだ。しかし、フランス・フットボール誌は、ブラジルのペレが受賞に相応しかったと認定した。ここでは、その理由を考察していく。

 

正式な受賞者 再評価された選手
選手 レフ・ヤシン ペレ
国籍 ソビエト連邦 ブラジル
所属 ディナモ・モスクワ(ソビエト連邦) サントス(ブラジル)
ポジション

GK

FW

チーム

タイトル

・ソビエト連邦リーグ優勝

・リオ・サンパウロリーグ優勝

・ブラジル全国選手権優勝

・コパ・リベルタドーレス優勝

インターコンチネンタルカップ優勝

主な個人

タイトル

・ソビエト連邦最優秀GK賞(アガニョーク誌)

・サンパウロ州リーグ得点王

・リオ・サンパウロリーグ得点王

・ブラジル全国選手権得点王

その他

要素

・リーグ戦27試合で失点わずかに6点

・世界選抜のGKとしてイングランド戦に出場し印象的なセーブを連発

・クラブの全公式コンペティションで得点数が試合数を上回る

 

レフ・ヤシンが史上最高のGKと謳われるのには多くの要素があるが、最大のポイントは何と言ってもバロンドールを受賞したことがあるという実績だろう。2017年終了時点で、GKでの受賞者は彼しかいない。それは評価を高める上で大きなアドバンテージだ。

しかし、そのバロンドールを本当は別の選手が受賞していたかもしれないと公式が言うのだからとんでもない話だ。本当にバロンドールに相応しかったのは誰なのか早速確かめていく。

 

ヤシンがどのようにしてバロンドールを受賞したのかは「レフ・ヤシンがバロンドールを受賞できた理由」に詳しく載せているので是非読んでいただきたい。

 

上記の記事を要約すると

・1963年のヨーロッパでは大きなナショナル大会は開催されていないため、主にクラブでの活躍がバロンドールへの評価に大きく影響していた。

ヤシンは、所属するディナモ・キエフでソビエト連邦リーグ(当時はレベルが高かった)を制覇。

・リーグ戦の失点率は1試合平均0.22点。つまりヤシンが守るディナモ・モスクワのゴールから1点を奪うためには、およそ5試合を要するという計算になる。

・当時カテナチオ全盛期だったセリエA全体の平均は1.21点。その中でも特に強固な守備で一世を風靡していたインテルですら0.59点だった。

ということだ。

 

また、イングランド対世界選抜の試合に招待され、ビッグセーブを連発したこともヤシンバロンドール獲得を後押ししたと言われている。

 

一方のペレは、例年と同様に1963年も次元の異なるプレーで見る者を魅了していた。世界最高のテクニックと圧倒的な得点力は留まるところを知らず、多くのゴールを重ねていった。

サンパウロ州リーグで19試合22得点、リオ・サンパウロリーグで8試合14得点、全国選手権で4試合8得点、コパ・リベルタドーレスで4試合5得点、インターコンチネンタルカップで1試合2得点。

驚くべきことに、全公式コンペティションで得点数が試合数を上回っているのだ。特にサンパウロ州リーグ、リオ・サンパウロリーグ、ブラジル全国選手権では得点王にも輝いている。

加えて、チームタイトルも多く獲得した。リオ・サンパウロ地域の王者になり、地域代表として参加したブラジル全国選手権でも優勝し、ブラジルクラブ代表として参加したコパ・リベルタドーレスも制覇した。極めつけは、南米クラブ代表として参加したインターコンチネンタルカップで欧州クラブ代表のミランに勝利し、クラブ世界王者の栄冠を手にしたことだ。

 

個人成績ではどちらも異次元であり、単純比較は難しいが、互角と見て良いだろう。得点王をいくつも獲得しているペレの方がよりインパクトが強いようにも思えるが、この年のヤシンの失点率の低さは常軌を逸している。

差が出るとすれば、クラブタイトルの数とその重要性だろう。国内リーグ優勝にとどまった(もちろんそれだけでも凄いのだが)ヤシンに対し、ペレはクラブの南米王者と世界王者に輝いている。これに関しては両者の差は歴然と言わざるを得ない。

 

GKというポジションの特異性を考えると、ヤシンに世界最高の個人賞を与えたいと願ってしまう。しかし、個人レベルでもクラブレベルでも最高の成績を残したのはペレと考えるのが贔屓目なしの評価だろう。

リエバリュエーション版ではGKのバロンドール受賞者が0になるというのは、この上ない寂しさを感じてしまうのだが…。

 

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